2019年の様々な出来事を振り返ったヤフー・ファイナンスによるインタビューの要点翻訳です。今回のゲストはウォーレン・バフェットのパートナーであるチャーリー・マンガーです。日本に住んでる個人投資家にとって重要そうな部分を要点翻訳してみました。
記者:先日はバークシャー・ハサウェイの株主総会でしたね。総会の一番好きなところはどういったところでしょうか?
チャーリー(以下:C):株主も従業員もとても熱心なところだね。良いキャリアだとかお金が稼げたとかではなく、みんな正しい方向を向いていると思っているんだ。まるでカルト教団みたいだけどね。
kyutoメモ(以下:K):バークシャー・ハサウェイの株主総会は主にウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガー対株主との質疑応答です。バークシャーの事業だけでなく、投資に関する一般的な事まで議題は多岐に渡ります。youtubeにもたくさん映像が上がっているので興味のある方は是非検索を。
記:総会では株主からの様々な質問に答えますよね。その回答内容は新しい事であったり、昔ながらの事であったり、その大部分は常識的な事ですが、
C:全部常識だよ。でも人が「常識」という言葉を使うとき、それは「非常識」を指してるんだ。何故なら人間の標準状態は無知で愚かな状態だから。
K:個人的にこのマンガー節が凄く好きなんですよね。静かな口調で、切れ味鋭く核心を突いてくる。95歳とは思えません。
記:では何故人間は投資において理路整然と考えられないのでしょうか?
C:セックスやギャンブルと同じだよ。人間の標準状態は色んな認識力が欠如してるんだ。
記:ではそのような状況を好転させるにはどうすれば良いのでしょう?
C:他人を上手く利用する事。認識力不足を取り除いていく事だ。
K:正直私には上手く理解出来ませんでした。誰か分かる人がいれば教えてください。
記:次にアメリカの経済について伺いたいと思います。今の経済の状況をどう捉えていますか?
C:当然今は明らかに好景気だね。でも好景気な時期もあればそうでない時期もある。そのどちらにおいても生きていかなきゃいけない事が重要だね。
記:この好景気がここまで長く続いていることには驚いていますか?
C:当然驚いてるよ。でも一番注目に値するのは、未だ嘗てこんなに早くお金を印刷してこんなに早く使った事が無い。公債と民間債をこんなに買い戻した事はない。今は本当に未踏の経済だよ。誰もこれが上手く行くかどうかなんて分からなかった。
記:リスクが高かったと?
C:当たり前だよ。でも結果的には上手くいった。他に上手く行くような手段は無かったとも思う。
記:では今の好景気におけるトランプ大統領の貢献はどの程度だと思いますか?
C:ある程度は彼の功績だと思う。でもその大部分はただ起きただけだ。サイクルの一環だよ。
K:(話を突然経済に移すんですが、見ていた感じとしては記者もチャーリーの話を理解できなくて話題を変えた印象です。)ここら辺はアメリカ経済全体に関わる話ですのでインデックス投資をされている方にとって参考になるのではないかと思って訳してみました。
記:では投資のお話に移りたいと思います。バークシャーはアマゾンとアップルを保有していますが、この2社はブランド会社と捉えてますか?それともテクノロジー会社ですか?
C:どっちも。
K:極めて難解な質問に一単語で完璧に返すのカッコいいですね。
記:もしも好きなブランドをどれか一つ所有できるとしたらどれを選びますか?4年前にウォーレンに同じ質問をした際はジレットと言っていましたが。
C:コカ・コーラ
記:今もですか?
C:世界中で毎日消費されているコーラの量は凄まじい。とても魅力的なブランドだよ。
K:個人的に一番回答に注目してた質問でした。私個人のポートフォリオでコカ・コーラ株を保有しているのでなんだか励みになりました。ただ、この後にコカ・コーラを選んだ理由の一つとしてこの特定の分野を熟知していて、今勢いのあるIT系のビジネスについては判断できる程の知識が自分には無いと述べています。”自分の得意分野でのみ勝負する“というのはウォーレンとチャーリーに共通する投資の心得です。
記:ボーイングの737墜落の件について、まだボーイングの機体に乗りたいと思いますか?ボーイングはこの事態を正す事ができると思いますか?
C:当然乗るし、当然正す。歴史を振り返れば、ボーイングは世界一の安全記録を保持している。ただ極めて大きな過ちを犯したのは確かだ。
記:バークシャーの後継についてお聞かせください。今ウォーレンとチャーリーはお二人とも高齢で、老化によって退任する判断が正しく下せない状態になるかもしれないという懸念の声もあります。このような意見についてはどのように思われますか?
(K:失礼な質問だなと思いました(笑))
C:僕とウォーレンは2人とも衰えたら自ら退任する事ができると思うよ。ウォーレンは常々周りにタイミングが来たと思ったら声を上げるように言っている。今までずっと合理的にやってきたんだ。最後まで合理的にやるさ。
記:今は色んな権限を譲渡している最中でしょうか?
C:そうだね。そして今のところとても上手くいっていると思う。僕たちの次の世代は素晴らしく優秀だよ。僕たちの非官僚的な考え方を良く理解してくれている。世の中には自分の仕事分をこなして次を担当してる奴に仕事を送れば仕事を終えた気になっている官僚的な集団がいる。それは仕事を終えたとは言わないんだ。仕事が終わるのは仕事が全部終わった時だよ。
記:近年のIPOに関心のあるものはありますか?
C:僕が関心を持っていないたくさんあるよ。その一つがIPOだ。僕の領分では無い。
記:ではウーバーについても関心は無いですか?
C:彼らが提供してるサービス自体には興味があるよ。ここまで世界を大きく変えたから当然ね。でも興味があるからと言って投資しなきゃいけないなんて事は無い。僕が投資するのは行き先がある程度予測できるものについてだけだよ。ウーバーの行き先については予測が立たないので投資しない。
K:ここでもまた”自分の得分やでのみ勝負する”ですね。
以上、今回はこのくらいにします。参考になる内容をお届けできていたら幸いです。もしインタビューを視聴して、ここを訳して欲しい!という箇所があればコメントで教えてください。
kyuto