先日質問箱にてこのような質問をいただきました。
「インデックス投資か、高配当投資か」
どちらの手法も人気が高く、よく見かける議論ですよね。
せっかく質問をいただきましたので、私の考えをまとめてみました。
ちなみに私自身はどちらの手法も行なっていますが、高配当投資に好みが偏っています。
<目次>
・トータルリターンはインデックス投資が優勢
・魅力①:現金化の負担が小さい
・魅力②:未来へ備えつつ今も楽しみやすい
・魅力③:景気後退局面でも続けやすい
・最後に
・トータルリターンはインデックス投資が優勢
質問の「劣る」が何の指標を指すかに寄りますが、仮に『金額的なトータルリターン』を考えるのであれば高配当米国株ETF(VYMなど)はインデックス投資(VTIやVOO)に劣る可能性が高いと思います。
理由は、質問者様が挙げたように都度課税される事による複利効果の低下と、事業が成熟していて成長力に欠ける高配当企業が多いためです。今後金融課税強化が進めばさらに高配当ETFは不利になります。
長期的なの資産最大化を目的にするならばインデックス投資は大変優れた投資商品と言えるでしょう。
しかし、多くの人はお金を増やし、最終的にお金を使う目的があるのではないでしょうか。このように「お金を増やす→使う」までをセットで考えた場合、高配当投資にいくつかメリットがあると感じています。ここでは参考に3つ紹介します。
・魅力①:現金化の負担が小さい
いざ増やしたお金を使うには、インデックス投資の場合は現金化する必要があります。現金化する額やタイミングの判断が必要になり、当然、売却時点の税制に則って課税されます。
これに対して、高配当ETFの場合は基本的に売却はせずに分配金によって自動的に利益確定するスタイルなので特にやる事がありません。
つまり『現金化の負担が小さい』と言えます。
特に体力/判断力が低下する老後ではよりありがたいメリットとなるでしょう。「売り」は「買い」よりも難しいと言いますが、利益確定を自動で行える点は数字では表しにくいために見落とされがちな利点です。
・魅力②:未来へ備えつつ今も楽しみやすい
また、インデックス投資は資産形成の恩恵がイマイチ感じにくい手法だと感じます。
インデックス投資は複利によって資産額は効率的に増やす事は出来ますが、投資すればするほど今使える資金は減ります。その点、分配金は一旦収入として手元に届くので再投資する以外にもそのまま使用するという選択肢も取れます。
配当金で大切な人と美味しいものを食べに行くなどして消費に充てたり、『未来へ備えつつ今も楽しみやすい』というバランスの良さも個人的に好きです。
もしかしたらこの方が周りからの投資に対する理解も得やすいかもしれません。
・魅力③:景気後退局面でも続けやすい
最後に、『景気後退局面でも続けやすい』のも大きなメリットだと感じます。
直近の印象的な下落で言うと、リーマンショックではVTIは約1年半かけて価値が半分になりました。この間、インデックス投資家たちは毎月資産価値が減り続け、中には精神的に耐えきれずに相場から撤退してしまった方も多かったと聞きます。
高配当投資の場合、こういった局面では逆に配当利回りを上げるチャンスなので積極的に買い増ししやすく、資産減少のストレスも少なそうです(私がそうでした)。一般的に配当額の水準は株価ほどブレが少なく、高利回りのタイミングで配当収入を効率的に伸ばせるためです(私はコロナショックの最中はほぼ毎日株を買い足していました)。
今の米国株は歴史上最長の景気拡大の最中なので忘れられがちですが、市場が数年間右肩下がりになる事は珍しくありません。過去を振り返ってインデックス投資だけしていれば成績は良かったと数字を比べるのは簡単ですが、実際にインデックス投資をその間続けられた人の割合、高配当投資を続けられた人の割合は気になるところです。
・最後に
少し長くなり過ぎたので質問に戻りますと、高配当ETFは長期的なリターンでは王道のインデックスには劣る可能性は高い。
ただ、上記のような数字では計りづらい部分にこそ高配当投資の良さがあると感じます。質問者様もなんとなくそのようなメリットを感じているからこそ、今回のような質問を投稿してくださったのではないでしょうか。もし興味があるのでしたら少額で高配当ETF等を購入してみて、ご自身の価値観に合うかどうか確かめてみると良いかもしれません。
質問者様の資産形成を心より応援しています。(^^)
kyuto