ゼロから始める資産運用〜パート①基礎知識編〜

資産運用って最近良く聞くけど何から始めればいいのかイマイチ分からないだよなあ・・・。

では私の独断と偏見で始め方を紹介します!

<目次>
・そもそも「資産」って何?
・99%の人は知らずに資産運用している
・適切なリスクを取ろう〜ピケティの不等式と3人の船乗り〜

 

 質問箱の方で「資産運用って何から始めれば良いのでしょうか?」という質問をいただいたので、久しぶりにブログにまとめる形で本気(ガチ)で回答してみます。こういったシンプルな質問ほどちゃんと答えようとすると数百、数千字の分量になってしまうのが難しい所ですね。

 案の定、頭の中でまとめていったら大体3パート編成になりそうです。今回は知識経験ゼロから資産運用を始めたい方が良いスタートを切れるように①基礎知識編、②準備編、③運用編の3つの記事に分けてまとめてみたいと思います。


 あと予め言っておきますと、あくまでも私の個人的な意見なので参考程度にお願いします。友人や家族に質問されたとしても以下の内容をお答えするとは思いますが、別にこれが最適解というわけではないです。「最適な資産運用」とは百人いれば百通りあるので、継続的に勉強し、自分の価値観と照らし合わせながら修正を繰り返していく事が大切だと思います。

 ただ、自分の価値観に合った運用を選ぶ事も、価値観の変化に合わせて運用を修正する事も基礎となる最低限の知識が絶対に必要です。この知識を身に付ける事なく次のステップに進んでしまうと、高額な手数料、ぼったくり、最悪の場合は投資詐欺という形で無知の代償を支払う事になりかねません。

 そんな訳で、地味だけど大事な「基礎知識編」を早速下からどうぞ。

 


・そもそも「資産運用」って何?

まずはここからですよね。

グーグル先生によると「資産運用とは、自身の持つ資産を貯蓄・投資し、効率的に資産を増やしていくこと」らしく、私も概ね同意です。

細かく勉強しだすとキリが無いので、ここでは「一般人(会社員、公務員、自営業者)が人生の選択肢を増やすための資産運用」に絞って話を進めたいと思います。

一般人にとっての資産運用を一言にまとめると、労働で稼いだお金を投資する事です。

もう少し具体的に言うと株式、債権、不動産といった資産を買う事です。これらはそれぞれ特色が異なりますが、全て資産を効率良く増やすという目的で運用されます。

 

株に債権に不動産・・・。急に話が難しくなってきたよ・・・。そもそも投資なんかせずに貯金しとけばいいんじゃないの?

資産運用を勧めると良く返される質問の一つですね。でも「貯金(普通預金)」も実は投資の一種です。他の投資と同じように長所も短所もあります。

・99%の人は知らずに資産運用している

 貯金(普通預金)は言い換えれば「日本円」という資産への集中投資です。自分の資産は普通預金だけという方は多いので、まずは普通預金の長所と短所を知り、それを補う形で資産運用の仕方を考えるのは良い始め方かもしれません。

 貯金100%の資産運用の最大の短所はインフレに弱い点だと思います。インフレとはモノやサービスの価格が上昇する現象です。同じ金額で買えるものが減るので、お金の価値が下がる現象と言い換える事もできます。

 そして基本的に経済にとっては緩やかなインフレが望ましいとされていて、世界各国はこれを目指して日々職務に励んでいます。近年の日本のインフレ率は1%弱を推移しているようです。ここで問題なのが、貯金の金利がインフレ率よりも小さい事。つまり貯金はそのまま放って置けばインフレによって価値が徐々に減っていく投資手法です。たまに「貯金は株みたいに価値が減ったりしないから安心だよね♪」という方がいますが、実際は数字上変化していないだけで価値は徐々に減っています。

 もちろん収入が高くて貯金だけで必要な額を達成できるならわざわざ株式投資なんてしなくてもいいのかもしれません。ただ、ほとんどの方にとってはある程度資産を株式等のリスク資産に割り当てる事で今の生活が楽になったり、将来の不安が小さくできるのでは考えています。

 

 

・適正なリスクを取ろう 〜3人の船乗りのお話〜

貯金だけだとジワジワ損しちゃうのはなんとなく分かったけど・・・株って価値が結構上がったり下がったりしちゃうんでしょう?

たしかに株式は価格がリアルタイムで変動する所謂「リスク資産」。ポイントは「適正なリスク」を取る事だと思います。

 突然ですがユダヤ教の聖典タルムードに「難破船と3人の乗客」という物語があります。

 ある日、航海中の船が嵐によって遭難して無人島に辿り着きました。島にはたくさんの果実が実っていました。船を降りれば果実を取りに行けそうですが、船は修理が完了したらすぐに出航する予定です。

 一人目の乗客はいつ船の修理が完了するか分からないので、取り残される事を遅れて一歩も島には踏み入れませんでした。遭難した事で食糧は底をついていて何日も空腹に耐えていましたが我慢する事にしました。

 二人目の乗客は島には出て船が見える範囲で辺りを探索し、修理が終わるまでにいくつか果実手に入れる事ができました。満腹にはなれませんでしたが、多少は空腹も満たせて水分も補給できました。

 三人目の乗客は島の奥地まで探索する事にしました。船はもう見えないところまで進みましたが、たくさんの果実を手に入れる事ができて満腹になれました。

 一人目の乗客は修理が完了した時に船に乗ってましたが、続く航海で栄養失調と脱水症で死んでしまいました。

 二人目の乗客は船に取り残される事も無く、餓死する事もなく、無事目的地にたどり着く事ができました。

 三人目の乗客は満腹になってものの、船に戻った時にはすでに出航しており無人島に取り残されてしまいました。

 めでたしめでたし。

 このお話の教訓は「適正なリスクを取る事の重要性です」。資産運用の話に当て嵌めると、貯金のみの方は一人目の乗客に近いリスクの取り方をしているかもしれません。「リスクを取らなすぎたが故に何もリターンを得る事ができず苦労する」というパターンです。

 日本に住んでいれば実際に生活していて一人目の乗客のように餓死する事はありませんが、なかなか上がらない給料と超低金利の貯金だけではどうしても経済的には自由度は低くなってしまうのではないでしょうか。貯金の一部をもう少しリスク資産に移してリターンを得てみる事で色々違った景色が見えてくるかと思います。

※ちなみに資産運用で言うリスクは資産を失ってしまう確率ではなく、リターンの標準偏差(振れ幅)を指します。高リスク=ギャンブルというわけではありません。

 例えばリスクが低い事で知られる債権に投資するために、代表的なETFであるAGGを購入したとします。AGGは過去10年で約12%値上がりしたので、年率に換算すると約1.2%です。それに加えて毎年約3%の分配金があるので、合計年率は約4%になります。日本の普通預金の金利は高くても0.1%なので、AGGを買えば40倍のリターンが得られそうです。ただ、コロナショックの時は最大で10%価格が下がりました。またすぐ回復しましたが、このような価格の振れ幅(リスク)がある事は留意しなければなりません。

 株式はさらにハイリスク・ハイリターンです。米国の企業を集めたETFであるVTIの平均年率は約8%とAGGの倍です。直近は特に伸びが良くて、10年で価格が3倍程になりました。その代わりコロナショックでは一時的に30%価格が下落しました。

 リターンが大きい資産を運用すれば効率良くお金が増える事を期待できる一方で、種々の要因による価格変動が大きい、すなわちリスクが大きいです。どの程度のリスクを取れば良いかは各個人の状況に寄るので、実際に運用してみながら適正なリスクを適宜調整していく必要があります。

 次回、具体的にどう投資を始めるかについてお話していきたいと思います。

kyuto

 

About the author